残り一冊!『戦車第二十六聯隊概史 工場 硫黄島に散った西聯隊長と鉄牛部隊の死闘』森下智著

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戦車第二十六聯隊は、昭和20年の硫黄島防衛戦において小笠原兵団唯一の戦車部隊として作戦の収支を通じて死闘を繰り広げ、またその聯隊長がロサンゼルスオリンピック馬術金メダリストの男爵西竹一中佐であったこととあいまって世上よく知られた部隊です。

しかしながら、その正式な聯隊史はなく、唯一『戦車第二六連隊の追憶』という回想録に近いものしかありませんでした。又その内容には一部不正確な点や、編纂当時の史料の制約から重要な事項が述べられていない等の憾みがありました。

そこで、記録や証言が散逸する前に聯隊史を概略ながらもまとめておくために作成されたのが本書です。

主な内容は、戦車第二十六聯隊の前身部隊(陸軍騎兵学校装甲自動車隊、騎兵第三旅団装甲自動車隊、同戦車隊、戦車第一師団捜索隊)の歴史から始まり、聯隊の編成と硫黄島への転用、硫黄島での作戦準備と防御戦闘・玉砕、西聯隊長の最期に関する新たな検証等です。

本書作成に当たっては、硫黄島戦史研究の権威である福田昭硫黄島協会理事(混成第二旅団が総出撃を中止して兵団司令部に向かったことを証明し、戦史叢書の誤りを明らかにした人物)と元陸上自衛隊幹部学校戦史教官で前靖國偕行文庫室長葛原和三元一等陸佐から数多くの未公開資料・現地写真やご指導をいただき、内容の信頼性や広くは知られていなかった様々な事項を明らかにしています。戦車第二十六聯隊が大きな戦果を挙げた「虎高地」の写真や、肉弾攻撃の際に使用された集束装薬(爆薬)のカラー写真など、諸書に名前は出るもののビジュアルでは不明確だったものが多数掲載されています。加えて、戦車第二十六聯隊の戦闘行動に関しては作戦図を新たに作成して時系列で掲載しており、聯隊の戦いぶりがイメージしやすくなっております。西聯隊長の最期については、昭和20年3月下旬に戦死または自決というのがほぼ定説ながら、聯隊の生還者による記録には6月まで生存していたという詳細なものがあり、聯隊本部壕の見取図とともにこれも掲載しています。

今後硫黄島戦史、就中戦車第二十六聯隊について記事や論文等を書くに当たっては、本書を無視したり読んでいないということは通用しなくなるでしょう。

● 規格: A4版、無線綴じ製本、ソフトカバー、白黒、頁

● 著者: 森下 智

● 協力: 硫黄島協会理事 福田 昭、 元陸上自衛隊幹部学校戦史教官 葛原和三

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